精子に関する研究

環境ホルモンの精子への影響は、全世界的に問題となっています。

人の精子数がここ半世紀の間で減少しているという研究報告が1990年代前半に相次ぎ、その原因が環境ホルモンではないかと示唆されたためです

発端は1992年に出されたデンマークの研究グループの報告でした。
1938年から1990年にかけて、精液量と精液中の精子数が有為に減少しているというものです。
同じ年に、ロンドンの研究者によって、精液中の精子数の減少に伴い、精子の運動能力の低下や精子奇形率の増加、精液中における精子の質の低下が報告されました。
その後、同様の報告が相次ぎました。

■ 一方で、フィンランドの男性の精液中の精子濃度は1958年から1992年の間で変化が見られないという報告24や、米国では過去25年あるいは21年間で精液中の精子濃度に変化は見られないという報告がなされ、実際に精子の数が減ったり質が低下しているのかどうかは、現在のところよくわかっていません。

■さらに、精子数の減少などが実際に起こっていたとしても、それが直接は男性不妊症(生殖能力低下)に結びつかないという報告27)と、反対に男性の生殖能力の低下に関連するという報告があって、環境ホルモンによる影響が人類の存続を脅かすかどうかについても確かなことはわかっていません。

その他、インドの不妊治療クリニックの364人の男性患者達を対象にして行われた研究で、携帯電話をより長時間使用している男性達の精子数が対象者達のなかで最低で、精子の運動能力も低かったという結果が得られた、という発表が有った事を伝えています。

携帯電話を全く使用しなかった、と申告した人々では精子の数は1ミリリットルあたり8600万、1日当たり2時間~4時間携帯電話を使用していた人々では、精子の数は平均すると1ミリリットルあたり6900万、1日当たり4時間を越えて携帯電話を使用していた。
ヘビーユーザー達では、1ミリリットルあたりの精子の数が5000万だったそうです。
同じ順番で精子の運動能力も低下していた、と報告されています。

精子数の減少と運動能力の低下は、生殖能力の低下を意味します。
ところで、この研究を率いたAshok・Agarwal博士は、研究は携帯電話が生殖能力に損傷を与える事を証明しなかったが、より多くの研究が求められる事を明らかにした、と語っています。

男性不妊の場合、その不妊原因のほとんどが、精子をつくる機能に関することです。
最近は環境ホルモンの影響で男性不妊が増えているという報告もあります。
WHOの基準では、1回の射精量が2ml以上、精液1mlあたりの精子の数が2000万以上、運動率50%以上、奇形率15%以下を正常としています。 
この基準に達しない場合を男性の不妊症と診断しています。

2009年1月18日21時にNHKで放送されたスペシャル番組「女と男」の中で、男性不妊に関して、オックスフォード大学教授の研究発表で、Y染色体が消滅の危機との報告が紹介されました。

ご承知の通り、Y染色体は男性だけが持つ遺伝子で男の赤ちゃんを決定する唯一の染色体だけではなく、妊娠に不可欠な胎盤をつくる遺伝子でもあり、Y染色体の消滅は人類の消滅に直結する重大事ということです。

本来は、X染色体もY染色体同じ大きさだったのが現在は、X染色体1098 Y染色体78ということが判明しています。
私たち哺乳類はオスがいなければ子孫をつくれないのですが、男性消滅の危機が高まってきているようです。

また、北欧やオーストラリアの研究では、男性のY染色体小さくなる現象の他、精子の質が(精子の量と運動率)著しく低下しており、最近の研究発表では成人男性の一回の射精質では、デンマークが一番深刻で4600万個程となり4000万個以下になると妊娠できなくなるそうです。
日本もほぼ同数の結果のようで問題視されてきました。
フインランドでは、精子の数が5年間の間で27%も下がり、原因の特定が急がれています。

この50年間というもの、人間、動物、そして魚でも、精子の数が減少し続けているとモントリオール大学のセルジュ・ベリズル教授(産婦人科学)は報告しています。