黄体機能不全

黄体とは、卵巣で卵胞(らんほう)が排卵したあとに変化してつくられる器官で、主にプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し、受精卵の子宮内膜への着床や妊娠の維持に重要な役割を果たしています。

黄体機能不全とは、黄体からのホルモン分泌が不十分になったり、黄体の存続そのものが短縮する状態を指し、不妊症の原因にもなります。

卵巣機能は、間脳視床下部(かんのうししょうかぶ)、脳下垂体(のうかすいたい)という性機能を司る脳の中枢によって調節されています。これらの中枢が、性周期の適切な時期に適切なホルモンを分泌することにより、卵巣における排卵やホルモン分泌が正しく行われるわけです。

したがって、視床下部、下垂体の機能異常があると、黄体機能不全となることがあります。
また、中枢に異常がなくても卵巣自体の異常のために卵胞から黄体への移行が不完全になることもあります。
このような機能異常がなぜ起こるかについては、明確なことはわかっていません。

糖尿病などの全身性の病気や喫煙などの嗜好品、身体の冷えや精神的ストレス、自律神経のアンバランスなど、日ごろの生活パターンや体質が深く影響している場合なども卵巣機能不全となり、黄体機能不全の症状を示すこともあります。

症状としては、黄体期が短縮することで月経周期が全体として短縮したり、黄体期、すなわち予測される月経の発来前約2週間に異常出血を起こしたりします。
黄体期に自覚しやすい症状(乳房が張る、体が熱いなど)が起こりにくいことも特徴としてあげられます。しかし、これらの症状を変化として気づかない場合もあります。

基礎体温を測ると、正常排卵周期では13~14日間続く高温期が短縮しているのがわかります。
ただし、診断する基準には、高温期が10日未満の時に黄体機能不全とする場合と、12日未満の時に黄体機能不全とする場合があり、確立していません。
また、高温期の体温が安定せず、高温期であるにもかかわらず、一時的に体温が低下したり、低温期から高温期への移行がはっきりしないこともあります。

黄体からのプロゲステロンの分泌が低いかどうかを調べるには、黄体期での血中プロゲステロン値の測定が必要です。10ng/ml未満であれば、黄体機能不全である可能性が高くなります。

さらに、黄体期の子宮内膜の組織検査を行い、その組織所見が月経周期の日付と合致しているかどうかによって、子宮内膜がプロゲステロンの影響を適切に受けているかどうかを判断することができます。

治療は、黄体期での黄体ホルモンなどの補充などをおこないますが、ご自分の身体の状態をよく知り、根本的に改善していくことで妊娠しやすい体内環境を整えることができます。