更年期と自律神経

ホルモンの分泌は間脳の中にある脳下垂体という部位で支配されていますが、この脳下垂体の隣にあるのが自律神経をつかさどる中枢です。そのため女性ホルモンの分泌が不規則になると自律神経も影響をうけてしまいます。

エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが、激減することが引き金にホルモンバランスの乱れ自律神経の働き影響が出てきます。

思春期の女性の卵巣には、数十万個の卵胞があります。

しかし、40歳前後を境にその数は急激に減少し、50歳になると数千にまで減少するといわれています。
その減少とともに、卵巣の機能も衰えてきます。
それまで卵巣から分泌されていたエストロゲンやプロゲステロンの量が徐々に減少してくるのです。
これだけでも、体のホルモン環境は変化するわけです。さらに卵巣からのホルモン分泌を促すホルモンのほうにも変化が起こります。

卵巣の機能は、脳の視床下部によってコントロールされています。
ここからの指令を受けて脳下垂体からは、性腺刺激ホルモンが分泌されています。ところが、いくら指示を出しても女性ホルモンが卵巣から十分に分泌されないので、どんどん性腺刺激ホルモンが分泌されさらにホルモン環境がアンバランスになっていくのです。
とくに脳の視床下部には、ホルモンをコントロールする中枢だけではなく、情動や自律神経の働きを司る中枢が集まっています。
そのため、女性ホルモンのバランスが乱れると、自律神経の働きや情動にまで影響が及び、さまざまな症状が嵐のように襲ってくるのです。

更年期の自律神経への影響は、まず月経の乱れに現れます。
それまで、規則正しく起こっていた月経が、最初は短い周期で訪れるようになります。

月経が乱れはじめたころから現れるのが更年期障害です。
更年期障害は、非常に多彩なのが特徴です。自律神経の働きが乱れて起こる典型的な症状が「ホット・フラッシュ」、いわゆるのぼせと発汗です。
気温と関係なく突然上半身がカーッと暑くなり、発汗します。ときには、動悸やめまい、脈の乱れを伴うこともあります。
手足の冷えや耳鳴りなども多い症状です。また 、頭痛、肩こり、腰痛、疲労倦怠感、トイレが近い、腟や尿道がヒリヒリする、性交痛なども多い症状です。
そしてライラしたり何でもクヨクヨ考え込んでしまう、気分が落ち込んでうつうつとするといった精神症状も更年期に現れやすい症状です。

ホルモンバランスに影響される自律神経というのは、自分の意思とは関係なく、心臓や胃腸、血管、内分泌、汗腺などの内臓器官の働きをコントロールしている神経のことです。
交感神経と副交感神経の二つがあり、起きている時は心臓を活発にするため交感神経が、寝ている時は心臓の働きをゆっくりさせるために副交感神経が働くというように、相反する働きをしながら、互いにバランスをとって内臓の働きを調整しています。

人は、不安や悩み、心配ごと、仕事、プレッシャーなど、人間の体にはストレスや不快を抑制しようとする「防衛機制」があります。

これは、心の安定を保つための働きで、「心の安全装置」とも言えます。
これがうまく働いていれば問題ありませんが、それが「許容範囲」を超えたとき、体にシグナルを送ってきます。
それが体調の変化であり、自律神経系に乱れが生じ、血液循環を悪化させて、病気となって現れるのです。

自律神経失調症に多く見られる、心臓のどきどき、微熱、多汗、頭痛、めまい、疲れ、手足の冷え・しびれ、耳鳴りなど・・・ これは体の異常ではなく「神経の緊張状態」ですから、病院でいくら検査しても「異常は見られません」と言われてしまいます。

原因の多くは精神的ストレス、人間関係のストレス、イライラ、さまざまな閉塞感などで、常に緊張感がとれず、リラックスできないのが起因してホルモンのバランスがくずれ、その結果、交感神経の働きが優位になり、他方の副交感神経の働きが抑えられてしまうことです。