半月板損傷

半月板は線維軟骨からできている三日月形の組織で、大腿骨と脛骨の内側と外側の関節のすきまにあります。

関節の適合性や安定性をよくし、荷重を吸収分散して円滑(えんかつ)な動きをさせるクッションとローラーベアリングの働きがあります。

この半月板は、主にスポーツ活動などによって膝にひねりがかかると損傷を生じることがあります。
内側半月板はスポーツ活動により損傷が生じることが多く、外側半月板は生まれつき半月板の形態が大きい場合(円板状半月板)に損傷が自然発症します。

半月板図

膝は体の中でも特に体重による負荷が大きくかかる箇所で、片方の足に体重の10倍以上の負荷がかかることもあります。
そのため半月板にも大きな力が加わります。
半月板損傷は、急激な動きや無理な体勢をとって膝を酷使したり、強く打ち付けた時に、吸収しきれないほどの負荷がかかることで半月板が欠けたり断裂した状態を指します。

運動中の膝のケガで多く発生するため、急性のスポーツ外傷に分類されています。
サッカーやラグビーで走りながら急激に方向転換をしたり、野球で捕手が膝を深く曲げた姿勢から送球をするときなど、多くは膝が無理にひねられたり伸ばされたときに起こります。

若い人に比較的多い傷害で、外傷によるものが殆どですが、加齢によって半月板の負荷が蓄積して切れるケースもあります。
この場合、長い時間をかけてゆっくりと切れていくため、痛みもゆっくりあらわれます。

膝の関節を外側に曲がた時はひざの内側の半月板が、膝の関節を内側に曲げた時は外側の半月板が損傷します。

損傷した位置によって治療法も変わってきます。

半月板損傷で膝に痛みが発生するメカニズムについて

半月板は一度損傷した箇所が再生することはありません。
損傷によって半月板の衝撃吸収力が弱まると、膝を支える力が弱くなり普段の生活でもひざへの負担が大きくなり、負担が蓄積して関節軟骨がすり減りやすくなります。
すり減った骨のカスや、ケガの際に裂けた半月板が周囲の組織を刺激して炎症を起こしたり、関節に挟まることで痛みが発生します。

半月板損傷が発症しやすいスポーツとは

野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、テニス、ラグビー、
スキー、格闘技など

問診や触診で痛みや関節の動きの状態を確認することで、ある程度半月板損傷の可能性は分かります。
X線撮影(レントゲン)やMRI検査などの画像検査で骨の状態を確認して最終的な診断を下します。
破損した半月板の状態をより詳しく調べるために内視鏡検査を行うこともあります。
メスで膝に小さな切り込みを作り、関節鏡と呼ばれる光ファイバーを使った小さなカメラ差し込み、モニターで状況を確認します。

補助的に関節液の調査を行うこともあります。
関節液は通常は無色透明ですが、関節に炎症が起こると色や状態に変化が現れます。
関節液に血液が含まれているケースは、半月板損傷や靭帯損傷など、膝の怪我によるものがほとんどです。

治療は損傷した部分の修復と安静が基本で、半月板の破損の状態に応じた治療法が採られます。
破損が軽度で症状が軽ければ手術を行わず、患部を温めたりサポーターで固定するなどの保存療法で対処します。
膝が伸ばせないロッキングなどが見られる場合は、破損した半月板を縫合、または切除する手術が行われます。

手術は内視鏡を使った「関節鏡下郭清術」が良く行われます。
体にかかる負担が少なく、ひざを大きく切開しないですみ、手術時間も1時間前後と短く、入院も1週間程度です。

半月板を取り除いても日常生活にはほとんど支障がなく、術後1,2ヵ月で軽い運動ならできるようになります。

半月板の再生について

一度欠損した半月板組織が再生することはないため、半月板を完全に元通りに戻すことはできないというのが現状です。

しかし近年になって、自分の膝の滑膜組織からとった幹細胞を使って半月板を再生させる治療法が日本で開発され、現在臨床研究が進んでいます。

再発防止のために、

半月板損傷のほとんどは急性のケガのため完全な予防は難しいですが、スポーツ中の膝への負担を減らして怪我の確率を下げることです。
膝以外の股関節など使った動きを習得したり、足だけでなく腹筋や背筋、体幹(体の中心部)のインナーマッスル(深層筋)を強化したりするなどの方法も有効です。

予防としては、下肢筋肉や体幹筋肉のストレッチ、バランス訓練やウォーミングアップを十分に行うことで膝の捻挫を防ぐことがすすめられています。